東京23区とほぼ同じ広さで資源にも恵まれていない小さな国が、いま世界で最も住みやすい場所であり且つ世界でも有数の経済大国にまでなった国があります。
今では、その国が提供する優れたインフラや公共サービスも、アジアの最高の都市とも評されています。
また、一人当たりのGDPの面で、世界で最も裕福な国の1つでもあります。
驚異的な経済発展を遂げた国。
それが東南アジアのシンガポールという国です。
このシンガポールという国では、ポイ捨てさえ法律で罰せられる国として知られています。
世界で最も低い犯罪率の低い国でもあり、治安も日本以上に良いと言っても良いでしょう。
驚異的な経済成長と安定した治安を維持しているという点で日本とも共通点が多い国と言えるかもしれません。
現在、シンガポール在住の日本人は約3万6千人となっており、多くの日本人が暮らしているアジア有数の国であります。
今回はこの東南アジアのシンガポールという国への移住について記載してみたいと思います。
シンガポール基本情報
シンガポールの基本情報は下記のとおりです。
- 公用語:英語、マレー語、北京語、タミル語
- 首都:シンガポール
- 面積:719.2km2
- 人口:約560万人
- 一人当たりGDP:約62000 USドル
- 時間帯:UTC+8
多民族国家である為、公用語は多言語となっています。
1人当たりGDPは日本よりも上で世界TOP10に入る経済大国です。
シンガポールの概要
シンガポールの国土面積は世界175位で、東京23区とほぼ同じ広さです。
人口密度はモナコ公国に次いで世界第2位です。
シンガポール島と、赤道近くに位置する57の小さな島々で構成されており、熱帯気候に属しています。
他の東南アジアの国同様、年中日本の夏が続いているような気候です。
シンガポールはもともと19世紀初頭にイギリスの貿易植民地として設立され、1965年に独立しました。
国の歴史としては、まだ100年も経っていない比較的新しい国家です。
今日では、多民族、多文化社会を持つ世界的にも有名な移住先の国として有名です。
シンガポールは都市国家であり、組織化されたコミュニティーに調和して存在する文化が豊富に混在しています。
優れたインフラストラクチャと最先端のネットワーク、ビジネス、金融機関が在籍しています。
同じアジアの香港と同様金融センターとしての印象が強い国で、多くの国際銀行と金融取引の量から明らかなように、国際金融センターとして大きく成長しました。
過去20年間、シンガポール政府は経済の継続的な成長を促進するために才能に優れた人材を引き付けるための努力をしてきました。
簡単に言うと、シンガポールに利益をもたらす人材を積極的に移民として受け入れてきたという事です。
英語はシンガポールで主要言語のひとつであり、特にマネジメント、ビジネス、テクノロジー分野でメインで使用されている言語です。
また、シンガポールは政治的にも安定しており、経済的にも豊かであり、高水準の教育システムと信頼性の高い医療システムを提供しています。
私もシンガポールは何度か訪れたことがあるのですが、オーチャードロードをひとたび散歩して、シンガポールの豊かさをすぐに実感出来ました。
ゴミが一切なく、道は整備され、日本以上の豊かさやモラル、ホスピタリティをシンガポールの街や人々から感じることが出来ました。
高品質のサービスと高水準の生活のクオリティと相まって、住居やビジネスにとって理想的な環境だと思います。
このシンガポールですが、前述したとおり移民に対して寛容な国家です。
シンガポールの国に対してプラスになる人間は積極的に受け入れています。
そして、このシンガポールでは、外国人の為に特別なビザプログラムを用意しています。
それが、グローバル・インベスター・プログラム(通称GIP)というシンガポールの移住プログラムになります。
シンガポールグローバルインベスタープログラム
グローバルインベスタープログラムは、シンガポールでのビジネスまたは投資に興味があり、投資をすることによってシンガポールの永住権を取得する投資家向けに設計された移住プログラムです。
GIPビザプログラム 申請方法
まずGIPの申請方法について見ていきましょう。
グローバルインベスタープログラムでは、投資家は次の3つのオプションのいずれかを選択できます。
オプションA: | 新規事業体または既存事業の拡大に少なくとも250万シンガポールドル(日本円で約20億円)を投資する。 |
オプションB: | シンガポールを拠点とする企業に投資する承認済みのファンドに加え、シンガポールでの事業計画の実施に少なくとも250万シンガポールドル(日本円で約20億円)を投資する。 |
オプションC(ファミリーオフィスオプション): | シンガポールに事務所を設立するために250万シンガポールドル(日本円で約20億円)の投資実施。 最低2億シンガポールドル(日本円で約160億円)の資産管理。 (シンガポール資産では最低5,000万シンガポールドル、オフショア資産では1億5,000万シンガポールドルが必要) |
申請条件
豊富なビジネス実績と起業家としての成功経験がある場合、グローバルインベスタープログラムの下で永住権を申請することが出来ます。
GIPの申請条件は下記の4つのいづれかに該当する必要があります。
1 | Established Business Owners(確立された事業主)起業家として少なくとも3年の間、成功したビジネス実績を持っている必要があります。 会社(または2つの会社の合計)の少なくとも30%の株式を所有している必要があり、申請前の3年間、会社の監査済み財務諸表を作成すること。 会社の売上高は過去12か月で少なくとも2億シンガポールドル(日本円で約160億円)、過去3年間の平均で年間2億シンガポールドル(日本円で約160億円)でなければなりません。 |
2 | Next Generation Business Owners(次世代の事業主)投資家の近親者は、会社(または2つの会社の合計)の少なくとも30%の株式を所有している必要があり、申請前の3年間、会社の監査済み財務諸表を作成すること。 会社の売上高は、過去12か月で少なくとも5億シンガポールドル(日本円で約380億円)、過去3年間の平均で年間5億シンガポールドル以上(日本円で約380億円)でなければなりません。 会社の経営委員会のメンバーである必要があります。 |
3 | Founders of Fast Growth Companies(急成長中の企業の創設者)創業者であり、会社の最大の個人株主の1人である必要があります。 会社には少なくとも5億シンガポールドル(日本円で約380億円)の外部評価が必要です。 |
4 | Family Office Principals(ファミリーオフィスプリンシパル)少なくとも5年間の起業家、投資または管理の実績と2億シンガポールドル(日本円で約160億円)以上の純投資可能資産を保有していること。 |
http://www.edb.gov.sg/en/how-we-help/global-investor-programme.html
申請期間について
シンガポールグローバルインベスタープログラムの下で永住権を取得するための手続きには、かなりの時間がかかります。
時間に余裕をもって申請を行う必要があります。
シンガポールでの生活を希望する申請者は、個人のプロフィールと投資計画の書類とともに電子申請フォームを使用して申請書を提出する必要があります。
申請から3〜4か月以内に面接に出席する必要もあります。
申請書および面談によって、すべての基準を満たしていると判断された場合、申請者には原則承認が発行されます。
この承認は6か月間有効で、その期間中に申請者は選択した投資オプションに基づいて必要な投資を行い、そのことを証明する書類を提出しなければならないとしています。
家族の規定
投資家の配偶者とその子供(21歳未満)は、投資家の申請に基づいて永住権を申請することができます。
21歳以上の投資家の両親および子供は、永住権申請の対象にはなりませんが、代わりに5年間の長期訪問パスを申請することができます。
再入国許可の有効期限
永住権が正式に確定すると、投資家ビザ取得者には5年間の再入国許可(REP)が発行されます。
シンガポール内外を旅行する場合は、必ず有効なREPが必要となります。
これにより、投資家はシンガポールから離れている間も永住権を保持できます。
永住権を取得してから最初の5年後、投資家が選択したオプションの対象となる特定の条件を満たす場合、REPを更新できます。
シンガポールグローバルインベスタープログラムは、シンガポールへの多額の金融投資に関心のある起業家や投資家向けに設計されており、シンガポールを故郷にしたいと考えている裕福な外国の起業家や投資家を引き付けることを目的としています。
シンガポールでの市民権の取得について
シンガポールに移住し、世界中から優秀な人材を引き付けることは、シンガポール政府の目標の1つです。
シンガポール政府の意図は、外国人が永住者になることでシンガポールを彼らの故郷にすることです。
シンガポールは、その優れたインフラと公共サービスにより、住むのに最適なアジアの都市に頻繁に選ばれています。
世界で最も低い犯罪率の1つであり、シンガポールの住居は居住者に質の高い生活を提供しています。
世界的に、シンガポールは一人当たりのGDPで測定すると、最も裕福な国の1つとも評価されています。
シンガポールに住むということは、居住者が国の政治的安定と経済的繁栄の恩恵を受けることを意味します。
また、評判の良い教育制度と信頼できる医療制度もあります。
そして、友好的な税制を有しており、近年、外国人投資家に有利な税制を導入し続けています。
これらの優遇税制や優れたインフラも全て外資から投資を促すためです。
シンガポール政府が国の発展のために富裕層の移民を積極的に受け入れているのです。
GIPプログラムにて永住権を取得したのち、2年間居住した後、シンガポール国籍を申請することができます。
GIPプログラムを得て2年間居住すればシンガポール国籍を取得出来るのです。
シンガポール市民権の注意点
なお、シンガポール国籍取得については注意も必要です。
シンガポールは二重国籍を認めておらず、この規則は厳格に施行されています。
シンガポールのパスポートは世界で2番目に強いと言われています。なお、1番は日本です。
シンガポール国籍所有者には、ヨーロッパのシェンゲン圏、カナダ、中国、米国を含む190の目的地へのビザなしまたは到着時にビザでアクセスできます。
世界的に見て非常に有利なパスポートですが、二重国籍を認めていない為、シンガポール国籍を取得した場合、日本国籍は破棄しなければなりません。
日本もシンガポール同様二重国籍を認めていません。どちらかを選択する必要があります。
日本のパスポートはシンガポール以上に優遇されている為、積極的に日本国籍を破棄し、シンガポール国籍を取得するメリットはないと考えられます。
また、保険としての複数の国の市民権とパスポートを保持することに関心がある人にとっても、シンガポール国籍取得は理想的な選択肢ではありません。
シンガポール国籍を取得した場合、日本国籍を破棄しなければならないという事を注意点としてご認識ください。
次にシンガポールへ移住し、生活およびビジネスをするうえで非常に重要なシンガポールの税制について記載したいと思います。
シンガポールの税制について
下記主要な税制について順に記載していきます。
- 所得税
- キャピタルゲイン税
- 相続税
- 物品サービス税(GST)
- 法人税
- 二重課税協定
- その他税制
所得税
日本と同様、累進課税となり2016年度から最高税率は22%となっています。
キャピタルゲイン税
キャピタルゲインは非課税です。
相続税
相続税や贈与税はありません。
物品サービス税(GST)
日本の消費税と類似の制度で、売上にかかるGSTから仕入にかかるGSTを控除し、その差額を納税することとなります。
税率は7%です。
法人税
法人税率は、17%となっています。
通常の法人課税所得のうち、最初の30万シンガポール・ドルに対して部分免税制度が適用されます。
最初の1万Sドルの75%、および次の29万Sドルの50%は免税となります。
二重課税協定
シンガポールは、日本を含む世界86カ国・地域と包括的な租税条約を締結しています。
その他税制
源泉税、個人所得税、財・サービス税、印紙税、不動産税など、また、軽減税率適用などの優遇措置があります。
その他税制には、源泉税、個人所得税(最高税率22%)、財・サービス税(Goods & Services Tax:GST 7%)、印紙税、不動産税などの税制が存在しています。
また、経済開発庁(EDB)などの政府機関によって、認定を受けた企業に関しては、法人税率の軽減税率適用などの優遇措置を受けることができます。
シンガポール移住はどういった方に適しているのか?
まず、新規ビジネスもしくは投資を行う為に20億円を用意する必要があります。
これは他の国の投資ビザと比べても非常に高額です。
またこれだけではなく、起業家・投資家としての経歴も問われます。
よって、このシンガポールが提供するGIPプログラムは、超富裕層向けであり、起業家・投資家としても実績のある方しか申請が出来ません。
ほとんどの人には申請が難しい、世界でもトップと言ってもいいくらい難しい投資ビザと言えるでしょう。
この厳しい条件をクリア出来る方のみ適している投資ビザと言えます。
タイランドエリートカードのビザと比較
最後に、余談となりますが、私が現在暮らしているタイという国、およびタイ王国が発行しているタイエリートビザプログラムと比べて、下記8つの視点で比べ、シンガポール移住そしてGIPプログラムを比較をしてみたいと思います。
- ビザ取得費用
- 物価
- 治安
- 医療
- 教育
- 税制
- 気候
- どちらの国が暮らしやすいか?
①.取得費用
シンガポールのGIPビザは取得にまず最低20億円必要です。
それ以外にも非常に厳しい財産条件が必要となります。
一方タイのエリートカードは最高20年のカードでも2M THB(日本円で約700万円)ほどです。
またタイのエリートカードには、滞在ビザと付帯してタイ政府からのVIPサポートも与えられます。
200倍以上の価格差があり、特典も受けられるタイ政府公認のエリートカードの方が優れていると言えるでしょう。
②.物価
シンガポールの物価は非常に高いです。
住居は日本の東京以上とも言われています。
車の購入も国土が狭いが故に厳しい制限がされており、関税がタイ以上に高く設定されています。
庶民には車が買えないような状況になっています。
物価についても圧倒的にタイの方が低く、優れていると言えるでしょう。
③.治安
タイが飛び切り治安が悪いということではなく、シンガポールの治安が飛び切り良いという事で、治安に関しては、シンガポールの方が上と言って問題ないでしょう。
世界中探しても、シンガポールと比較して治安がいい国は、日本くらいしかないかもしれません。
女性が一人で夜で歩いても問題ないという点で言えば、シンガポールと日本くらいかと思います。
④.医療
医療はどちらも富裕層向けの最先端の医療施設があります。
また、訪れる病院によって違いがある為、甲乙つけがたいと言えるでしょう。
2020年のコロナ対策で言えば、タイはシンガポールよりも感染者および死亡者ともに少なく、医療崩壊も起きませんでした。
一方シンガポールは、出稼ぎ労働者の間で感染が拡大してしまい、一時東南アジアでもコロナを抑えられていない国という印象が強かったです。
⑤.教育
教育についても学校によってレベルの違いがあるので一概にどちらの国が良いとは言えないと思います。
どちらの国も海外からの駐在員が多い為、インターナショナルスクール、また日本人向けには日本人学校も存在しています。
⑥.税制
税制については、タイの個人所得税は累進課税制で最大で35%です。シンガポールは22%。
またタイの法人税は20%です。一方シンガポールは17%です。
株のキャピタルゲイン無税という点ではどちらも同じです。
海外から企業を誘致するために税制を国が率先して優遇している為、シンガポールの方が税制面では優れていると言えるでしょう。
⑦.気候
どちらも東南アジアに属している為、気候は似たようなものかと思います。
ただし、タイは場所によっては気温が10度近くになる山岳地帯などもあるので気候は多岐に渡ります。
国土が狭く、どこに行っても同じような気候のシンガポールは、タイよりも劣ると言ってよいかもしれません。
⑧.どちらの国が暮らしやすいか?
物価の面でタイが暮らしやすいと言えるでしょう。
また、シンガポールは国土も東京23区と同じくらいで非常に小さい為、行ける場所が限られています。
一方タイはプーケットやサムイに代表されるビーチリゾートからチェンマイやチェンライに代表される山岳エリアなどアクティビティを楽しめる場所も豊富にあります。
シンガポールには綺麗なビーチは残念ながらありません。
ゴルフコースもシンガポールは20ほどしかないですが、タイには250か所あります。
物価やその他人生を楽しむためのアクティビティなどあらゆる面でタイとシンガポールを比較しても、タイの方が良いと言えるでしょう
タイエリートビザと比べて移住するなら、どちらが良いか?
シンガポールとタイどちらも日本人の海外移住先として非常に魅力的です。
しかし、シンガポールの移住ビザは最低20億円が必要とされ、非常に高額です。
全ての人に門戸が開かれているとは言い難いです。
一方タイの移住ビザは一般庶民にも手の届く値段設定で且つ政府からVIPサポートも受けることが可能です。
この政府からのサポートには日本人も常駐しており、日本語を使ってサポートを受けることも可能です。
私個人としてはシンガポールの移住ではなく、タイへの移住をお薦めしたいと思います。
なぜ、タイの方が良いのか?
それは、タイには富裕層向けのVIPビザプログラムが存在しているからです。
このビザプログラムはシンガポールには存在していません。
タイには長期ビザが発行されるだけでなく、それに付随してタイ政府が完全サポートする形での特典も享受できるのです。
それがタイのエリートカードというものになります。
もし、シンガポール移住でお悩みであれば、一度タイのエリートカードについて詳細を記載していますので確認頂ければと思います。
なお、私は、現在発売されているタイランドエリートカードとは異なり貴重性および資産価値も数倍も高い旧式エリートカードの紹介サービスもしています。
現在非売品となっているVISAプログラムのカードです。
もしこの旧式エリートカードとは何かご存じでなく、ご興味がある方は下記記事に詳細を記載していますのでこちらもご参照いただければと思います。
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